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2018/03/01

リーダーシップが伝播する、「組織変革のビジョン」とは

(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)
(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)
「組織変革」と「ビジョン」の2つはビジネスコラムなどでよく出てくる言葉です。両者を結び付けて考えてみたことはあるでしょうか。リーダーシップの重要性を説く金井壽宏氏の著書「組織変革のビジョン」の概要とビジネスへの活用法やリーダーシップ論について解説・分析をしていきます。

金井壽宏著「組織変革のビジョン」


「組織変革のビジョン」の著者である金井壽宏氏は、経営管理や経営行動科学を専門に研究している神戸大学大学院経営学研究科教授(2017年8月時点)です。日本のリーダーシップやキャリアに関する議論をけん引する第一人者といえます。著者は「組織変革のビジョン」の中で、「組織変革における個人心理の問題」「不変を基調にした変革」「組織変革におけるビジョンの必要性」という3つのポイントについて解説しています。

1つ目の「組織変革における個人心理の問題」については、組織変革をマクロ視点で捉えるのではなく、個人の視点からミクロに捉えるということを重要なポイントとして挙げています。一般的に組織変革というと、時代のニーズや流れを読み取り自社の強みや問題点を洗い出すというマクロ的な視点が必要になると思われがちです。

しかし、金井氏は「組織は人々で構成されているのだから、個人が変わらなければ組織は変わることができない」という立場をとり、ミクロ的な視点から組織変革という問いに一石を投じています。

2つ目の「不変を基調にした変革」は何もかもすべてを変化させてしまうのではなく、一定の不変性を保ちながら組織変革をしていくことが理想的な形であると述べています。個人も組織も基軸というものを大事にしながら組織変革を進めていく必要性を説いています。

3つ目の「組織変革におけるビジョンの必要性」では、ビジョンがあるからこそポジティブなエネルギーが発生しやすくなり、最後までやり遂げることができるようになると説いています。組織変革には「このままでは会社を存続させることができない」という危機感が必要であることは言うまでもありません。

しかし、不安を基調にした組織変革はネガティブな心理的エネルギーが生じやすくなり、組織変革が失敗に終わってしまいがちです。このような状況に陥らないようにするために「ビジョン」が必要なのです。そして、ビジョンを用いながら組織変革を成功させるためには、「組織変革のリーダーシップ」が必要となるわけです。

リーダーシップが組織を変える


組織変革に必要なリーダーシップに求められていることは、ビジョンを組織や現場に「価値」として提供できる能力です。そのため、頭脳明晰で正しい判断をすることのできる「マネジメント」とは意を異にするものとも言えるでしょう。

つまり、肩書きや権限で部下を動かすリーダーではなく、そのリーダーのビジョンを実現するために部下がついていきたくなる、というものです。

人は誰でも、変化することを恐れる性質があると言えます。人が変わることは、決して容易なことではありません。しかし、組織変革をするためには人を変えなければなりません。それを穏やかに促すために「ビジョン」が有効な手段となり、結果としてリーダーシップによって組織が変わっていく、という考え方です。

ビジネスで活用するためには


これらを踏まえると、まず変化することを受け入れられる企業風土を、組織の中に定着させることが必要となる、と言えるのではないでしょうか。組織変革を行うリーダーに象徴的で具体的なビジョンがあれば、部下も明確な行動の指針を得られると言えます。

結果として部下たちがついていきたくなるという自発的なモチベーションを引き出し、一人ひとりが確実に変化し、組織変革を成し遂げることができるようになると言えるでしょう。

「組織変革のビジョン」の中で、「組織変革のリーダーは、恐れなかった人ではなく恐れを克服した人」という言葉が出てきます。自分は「恐れなかった人ではなく恐れを克服した人」の役割を果たしているのかを、改めて確認してみましょう。
 
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