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2018/03/01

危機を転換し成長へとつなげる、企業変革の事例2つ

(写真=Sergey Dudyrev/Shutterstock.com)
(写真=Sergey Dudyrev/Shutterstock.com)
企業変革は、業務改善に比べてより本質的な改革が求められます。経営者が目の前の業績に一喜一憂し、その都度手を打っているだけではいけません。そのうち他社に抜き去られてしまうだろうという予兆があるなら、今すぐ企業変革に取り掛かるべきです。

ハーバード・ビジネス・スクールの名誉教授で、変革やマネジメント、リーダーシップ論の世界的権威であるジョン・P・コッターによって著述された「企業変革力」より、企業変革という言葉の必要性を解説し、実際に変革を行った事例を2つ紹介していきます。

企業変革の必要性


企業変革はどのような場合に必要になるのでしょうか。業績悪化、業績低迷という目に見える形で売り上げが伸び悩んでいる場合は、現状を打破するために企業変革が必要になると言えるでしょう。

また、「他社と比べて競争力が低下してきている」「受発注ミスや納品遅延が多発している」といった場合は注意が必要です。こうした業績悪化につながる予兆が頻発する場合も、企業変革を行えば、手遅れにならずに済むという効果を期待できると言えるでしょう。

さらに、業績が好調な場合でも、従業員が常に危機意識を持ち続けるために企業変革を行うこともあります。現状に甘んじることなく、常に少し先の未来を予測し、新たな課題に対して変革の施策に次々と取り組んでいるため、業界トップを維持している企業もあります。

変革の事例2つ


1つ目の事例は、映像や写真事業を主体とする精密化学メーカーです。写真や映像フィルムだけでなく、レントゲンフィルム技術を用いて医療分野への進出も果たしています。企業改革前の主力事業は、フィルム関連事業でした。

ところが、2000年を境にデジタル化が加速し、約60%を占めていたフィルム関連の利益が急激に低下するという事態に陥りました。時代に合わせた事業を展開しなければ、会社存続の危機に陥るという危機意識が生まれ、ここで「企業変革」が行われることになります。

この精密化学メーカーで行われた企業改革で特筆すべき点は、「コア技術の深掘」です。自社の強みについて徹底的に洗い出し、その技術を適用できる分野を少しずつ開拓していったのです。

例えば、フィルムの主原料であるコラーゲンの知識を豊富に持っていることを強みに、化粧品分野に進出しました。写真事業で蓄積された「抗酸化技術」や「ナノテクノロジー技術」は、すぐに化粧品に応用することのできる優れた技術であることが分かったのです。結果として、デジタル化の波に飲み込まれることなく、堅調に売り上げを伸ばし続けています。

2つ目の事例は、大手自動車メーカーです。過去最高益を更新した年度でさえ健全な危機意識を持つように社員へ奮起させる言葉をかけ、現状満足に陥らないようにする企業風土があります。

企業変革を成功させるためには、社員に危機意識を持たせることが重要なポイントとなります。社員に危機意識を持たせるための取り組みとして、「競合他社の優れた点から自社の課題を明確にする」「通常では成し得ない高い目標を設定する」「すべて順調であるというメッセージを発信しない」「組織のあらゆる部門に自社の課題を浸透させる」といったことを実行しています。

実際に円高の影響によって営業利益が減少した年もありましたが、日頃から社員に危機意識を持たせていたため、堅調に成長し続けています。

このように、業績好調の中にあってもポジティブな危機意識を持つことによって、企業変革が推進しやすくなることが分かります。

危機から成長へとつなげるために


今回は、業績悪化の予兆をいち早く察知し企業改革を行ったケースと、業績好調でも企業改革に取り組む2つの事例を紹介しました。

企業改革を阻害する典型的なケースは、「過去の成功体験」と「現状肯定」と言えるのではないでしょうか。人間は変化することを怖がる生き物です。過去に成功した体験があり、業績悪化に直結したのが外部要因ともなれば、決して変わろうとすることはないでしょう。

まずは「危機意識」を持ち、変革を実行する意識を高めることが重要とされているのです。また、組織変革におけるポイントについては、他の記事でも解説しています。

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